福岡市内南部の就学前の障がい児の通園・通学・外来・相談・診察の中心となる療育センター。敷地は、三筑公民館や社会福祉施設、学校の公共施設が集まる地区。敷地南側には、2024年に高架化された西鉄大牟田線があり、一方通行の道路と広い歩道が整備された場所に位置する。
建築部門別概要は、通園部門、外来・診察・相談・訓練部門、管理部門からなり、既存施設を運営する事業団へのヒアリング内容や、各部門を相互利用する動線などから平面、立面計画を行った。
建築物は、北側に建物をセットバックし、南側にまとまった駐車場、園庭を確保することで道路や電車からの視線、騒音対策し、また、隣地の公民館や社会福祉法人の向きに配慮した配置計画を行った。
平面計画は、各階共通で移動距離を短くするため、部門毎に同じフロアでまとめた。避難のため外周部にバルコニーを配置し、それぞれの室から外部へ出られるように計画した。
1階(通園・管理部門)は、来館者や送迎時の対応をスムーズに行えるよう事務室を配置。玄関周りや遊戯室は、木質化することであたたかみのある空間とした。
2階(通園部門)は、通園部門での利用頻度が高いプールを配置。
3階(訓練・相談診察部門)は、障がいに合わせた運動具や遊具を収納する倉庫を広くとり、各室に隣接して配置。
また、厨房を3階に配置し、メンテナンスを容易にするため屋上に換気ファンを設置した。
4階(管理部門)は、
職員が休憩時間を有意義に過ごせるよう一階事務室と離して休憩室を配置。また療育室と離し有意義に過ごせるのう保護者控室を4階に配置。休憩室は、デッキや屋上園庭に面した配置とし、リフレッシュしやすい空間とした。
外観デザイン
深いバルコニーの横基調のファサードデザインは、
採光を確保しながらも外部からの視線や日射負荷を抑制。日射をコントロールするレンガ調の縦型ルーバーは、外観にリズミカルなイメージを与え、見る場所や時間により多様な見え方となるデザインとした。
内観デザイン
外部から玄関まで連続する木製の天井や、遊戯室、待合室の壁・床は木質化。内部空間にも木材を積極的に利用し、木のぬくもりある空間を内外一体的にデザインした。内部建材(腰壁、手摺、床シート)は、抗菌・抗ウイルス製品を採用。
所在地:福岡市南区
発注者:福岡市
主要用途:障がい児医療センター
構造・規模:鉄筋コンクリート造4階建一部鉄骨造
延床面積:4,205.85m²
施工:旭・西鉄・岩堀建設工事共同企業体
竣工:2025年2月
業務: |
基本設計,実施設計,監理 |
担当者: |
石橋 光男, 近藤 由梨 |
備考: |
構造設計:草場建築構造計画、カマエ
設備設計:設備総合計画
サイン :TAP
写真 :イクマサトシ(Techni Staff) |