CATEGORY : 所長ブログ DATE : 2020年9月27日
建築は竣工時、プロのカメラマンに撮っていただくのですが、撮影の合間、太陽の光待ちの間、色々雑談になるのですが、これがなかなか楽しいです。今までにお聞きした中で印象に残っているのをいくつか・・・
・今年82歳になられる建築家谷口吉生氏。写真撮影の際には必ず立会われるそうで、現場で家具の向きなどあーでもないこーでもないと嬉々として立ち回れるそうで、建築愛を強く感じるそうです。
・写真のクレジット(著作権)について。設計事務所によって意識が異なるそうで、しっかりしている事務所ほど、若手社員まで教育がちゃんとなされているそうです。襟が正される思いでした。
・大事なアングルを電線が邪魔するとき、やむなくレタッチで電線を消してもらうことがあります。事前にそれが分かっている場合は、図面にあらかじめ表記することで、それに応じた撮影の仕方、手間の想定ができるそうです。設計段階で撮影シーンを想像するためには撮影立会の経験が欲しいです。
・間接照明の光源、隠そうとするのですが、チラッとみえる角度があります。もう少し深かったら見えなかったところ、「目立たせないようにしておきますね」と言っていただき、反省しきり・・これこそ3Dでグリグリ回してチェックしたらいいかも。
・夜景の撮影は、天空光も少し残っている薄暮の時間帯が、内外共に映るいい写真になります(ブルーモーメント)。この時間はとても短いので、照明等万全な状態にして臨みたいものです。カメラマンの方もこの時間帯は小走りです。先日、帰宅ラッシュに巻き込まれ、夕景撮影に遅刻する失態を犯しました。反省。
・3脚を建て、黒い布をカメラマンが被るイメージはよく知られています。建築写真の時も、黒い上下のカメラマンの方曰くガラス面への映り込みを減らせるからとのこと。なるほど。
・ダウンライトでキッチンやカウンターなどを照らすとき、ステンレスなどの場合、天井に反射で変な影が出るそうです。バーや雰囲気が求められる物件の場合、その影などもレタッチされるそうですが、反射率の低いカウンター材を選べば、そういう光も減らせるということですね。
杉本泰志
CATEGORY : 所長ブログ DATE : 2020年9月26日
福岡市南区に建つ西長住公民館が竣工間際です。
昨年、プロポーザルで受託、基本・実施設計を行いました。
福岡市では約140超ある小学校校区にそれぞれ公民館が整備されており、
小学校と共に地域コミュニティの拠点となっています。
公民館建設にあたっては、ベースとなる設計基準をもとに、
各校区の特色に応じて、その地域ならではの公民館を、地域、行政、
設計が一緒になって考えていきます。
データで読める校区の特色(子育て世代が多い等)に加え、
実際の住民の方々との対話で得られる情報(公民館が宿題をする
子どもたちの居場所になっている等)でプランを練り、
意見交換をするプロセスは、とてもやりがいのあるものです。
ここ西長住校区では、館の中心となる1階ロビーを吹抜けとし、
子どもの居場所となる部屋を開放感高く隣接させて、立ち寄り
利用しやすい場づくりを目指しています。
現場に入ってからは、直接監理はしない立場ですが、
色・仕上決めに同席したり、完成模型、CGを提供したりなどして
重岡工務店さんの工事を後方支援。
地域と共に10月の竣工を心待ちにしています。
杉本泰志
CATEGORY : 所長ブログ DATE : 2020年9月22日
一昨年末から設計にとりかかり、昨年10月に開園した企業主導型保育園
「きりしまたけのここども園」。
普段お世話になっている霧島酒造さんと社会福祉法人郡元福祉会の浅井園長との
ご尽力により、霧島ファクトリーガーデン入口に開園しました。
お話は、基本平面が他社設計でほぼできている中、
「霧島ファクトリーガーデンの景観に調和する外観を含めた提案」
を求められる設計コンペとして指名をいただいたことから始まります。
時期はまさに年の暮れ。しかも来年度3月中の工事着工が必須条件。
目もくらむような短工期でしたが、霧島さんの仕事は是非とりたいとの思いから参戦、
無事ご選定を頂くことになりました。
その後、下森建装さんの施工で中庭以外を仕上げ、昨年10月に開園。
中庭にシンボルツリーとしてシマサルスベリの巨樹を植えることとなり、
その移植時期の関係から開園から約1年遅れの中庭完成となりました。
外構・中庭の設計は「みどりの設景室」の上野さん。浅井園長からの
「ジャングルのような園庭を」というハードル高いリクエストを、下森建装の方々、
植栽工事の内山緑地の西山部長、古賀さんと一緒につくりあげていただきました。
通常だと、原色のカラフルな遊具がいわゆる「子供らしい」景観を作ってしまうのですが、
ここでは徹底して原色の使用を行わず、遊具を担当してくれたチャイルド社さんにも
ご協力いただき、建築・外構・植栽・遊具が自然な色彩で組み合わされることで、
霧島酒造が大切にする「本物の素材感」を感じる場づくりを目指しました。
芝生上の敷砂が落ち、芝が新芽を出すタイミングを狙って9月下旬に
テクニスタッフのイクマ氏に写真撮影していただく予定です。
杉本泰志
CATEGORY : 所長ブログ DATE :
シェーナ箱崎駅前 竣工
東区の九大正門前近くに建つ8階建て賃貸マンションが竣工しました。1LDK~3LDKが混在し、
1階にはテナント、最上階にはルーフガーデンが設置されています。
地場大手エネルギー関連企業OBの施主は、これまで豊富な建築の発注・管理経験を持っており、
「トータルライフサイクルコストの観点で望ましい建物のありかた」を設計の中で、
我々も学びながら、約5年の歳月をかけて、ようやく竣工に至りました。
限られた敷地の中で、既存建物の柱位置を避けた最小限の本数の柱位置の決定。
賃貸管理を行う地場大手不動産のベテラン営業マンとの定例打合せによる、
ユーザーに好まれる間取り、維持コストが低減できる諸々の工夫。
施主は幾度となく、建築プランをスケッチ検討され、それを囲んでの濃密な設計打合せ。
現場に入ってからは大高建設の野見山所長・平山さんとのタッグで再度建物のあり方を
見直しつつ、ひとつづつステップを重ねての竣工となりました。
施主をはじめ、いろいろな気付き・学びの機会をくださった関係の皆様に感謝!です。
杉本泰志
CATEGORY : 所長ブログ DATE : 2020年9月20日
昨年から取り組んでいた福津の保育所がようやく竣工しました。
木造の平屋建ての保育所です。
大事にしたのは木造と外部空間です。
保育所に限らず、内部空間が気持ちいいのは木造だということは
常々感じていました。
しかし、保育所は住宅や学校に比べて、木造で作る際の法的規制が
強く、いわゆる「内装制限」がかかり、木を表しにしにくい。
そのことに、どう対応するかが大事なテーマでした。
廊下を、制限がかかる内部ではなく、外部廊下とする事で
内装制限から外し、これにより柱梁の木表しが可能になりました。
しかし、日常的に雨に降られると困るので、軒の高さを低く、出を長く
して、天気に左右されない、木質感のある外部廊下の断面を熟慮しました。
もう一つは、外部空間をしっかりつくること。
これは契約が決まる前から、みどりの設景室 上野さんにお願いをし、
建築以上に施主の意中に合った、計画をつくっていただきました。
自然素材と多様で身近な緑の組み合わせによる外部空間は、
訪れた人を笑顔にし、場を五割増しによく見せてくれます。
建築の床は触覚の心地よい平川木材のうづくり仕上げ。
外壁は宮崎から来ていただいたアウターウォール。
サインは大坪咲穂さんの書をGATAP大宝さんが綺麗にまとめてくれました。
照明設計は夜間シューティングもしていただいた馬渡さん。
そして、難しい建築をまとめてくださった因建設さん。
他にも多くの方々の手で、竣工に漕ぎ着けました。
(写真2枚目 撮影:イクマサトシ(technistaff))
竣工写真はこちらです
杉本泰志